「多汗症と汗かきは何が違うの?」と思いませんか?
多汗症も汗かきなも、たくさん汗をかくことには違いありません。自分が多汗症なのかそれともただの汗かきなのか、わからない方もいるでしょう。
しかし多汗症と汗かきには明確な違いがあります。そして多汗症は治療できる疾患です。この記事では実際に多汗症になった私の経験をもとに、多汗症と汗かきの違いや汗を抑える方法を紹介していきます。
多汗症とは?皮膚科学会のガイドラインの記載を紹介
私は多汗症です。多汗症とは読んで字のごとく、汗をたくさんかいてしまう病気。多汗症には手掌多汗症、腋窩多汗症などいくつか種類があり、汗が多く出る部位によって呼び名が少々異なります。
私の場合はとくに顔の汗がひどく出る頭部顔面多汗症でした。もちろん顔だけでなく脇や背中、手など全身まんべんなく汗をかきやすい体質です。
ここまで読んだ方の中には「自分も汗をたくさんかくよ?」と思った方もいるかもしれません。
多汗症と診断するために必要なこと
ここで日本皮膚科学会がが出している「原発性局所多汗症診療ガイドライン 2015 年改訂版」を見てみましょう。このガイドラインには以下のように多汗症の定義が記載されています。
- 最初に症状がでるのが25歳以下であること
- 対称性に発汗が見られること
- 睡眠中は発汗が止まっていること
- 家族歴がみられること
- 1週間に1回以上多汗のエピソードがあること
- それらによって日常生活に支障をきたすこと
このうち2つ以上に当てはまれば多汗症と診断されます。対称性というのはたとえば、私の場合は家族歴以外の項目はすべて当てはまっていました。
私が実際に経験した多汗症エピソード
「1週間に1回以上多汗のエピソードがあること」
多汗エピソードって何?と思われている方のために、私のエピソードを紹介しますね。
私は気づいたときには多汗症になっていました。高校生のころです。
もともとは夏場に自転車を20分ほど漕いでもそこまで汗はかかないくらいの体質でした。じんわり汗はかくけど、拭くほどではない程度の量です。
それがいつの間にか、何もしなくても汗をかくようになってしまったのです。授業中に突然体が火照ったようになり、まるで滝のように汗がとめどなく出てくるようになってしまいました。
汗で前髪が額に貼り付き、顎からは汗が滴り、首筋にも汗がどんどん流れていきます。まるで炎天下の中を何十分も走ったかのような大量の汗が、教室でじっと授業を受けているだけなのに出てくるようになりました。
これが私の多汗エピソードです。
汗が大量に吹き出るのは、決まって授業中でした。普通なら汗をかかないような場所に拘束されることがプレッシャーとなって、汗をかいていたのでしょう。
以下の記事でさらに詳しく、多汗エピソードについて書いていますので、気になる方はこちらもぜひご覧ください。
多汗症と汗かきの違い
一方で汗かきとはどのような状態を指すのでしょうか。基本的には運動をしたときに他の人よりかく汗の量が多い場合を汗かきと呼ぶことが多いです。
また汗をかき始める気温が他の人と比べて低い方もいるでしょう。
多汗症の場合は、気温に関係なく(もちろん気温がトリガーとなることもありますが)、主に心理的な要因で汗が吹き出すような症状が起こります。
暑かろうが寒かろうが関係ありません。動いてるかじっとしているかも関係ありません。多汗症は気温によって汗が出るのではなく、精神的な不安によって出る要素が強いと言えるでしょう。
汗かきの方は、運動したときに周りよりもかく汗の量が多い方や、他の人よりも低い気温で汗をかき始める方を主に指します。多汗症の場合は、もちろん暑いところで汗をかきやすくなるのですが、心理的要因で発汗量が増えたり、突然滝のような汗をかいてしまう症状を指すものです。
多汗症の治療方法
少し前までは多汗症をどう治療すべきか、明確なガイドラインは存在しませんでした。しかし今はしっかりと治療ガイドラインができており、多汗症の治療を行っている医療機関も格段に増えてきたため、汗の悩みは治療で治すことができる時代になりました。
治療方法は汗が出る部位によって異なります。
- 塩化アルミニウム液
- イオントフォレーシス
- ボトックス注射
- ミラドライ
- 交感神経遮断術
- 飲み薬
主にこれらの方法を使いながら、治療を進めていきます。
私の場合は飲み薬での治療しかやっていませんでした。私が多汗症になったのは今から約10年前。当時は周りに多汗症の治療を行っている医療機関がなく、どうにか見つけ出した漢方薬を得意とする内科にかかって薬を処方してもらっていました。
今はネットで検索すればいくつも多汗症治療を行っている病院のHPが出てくるので、かなり治療を進めやすくなったと思います。
それぞれの治療方法について詳しく知りたい方は、以下からご覧ください。
▼塩化アルミニウム液・塗り薬
▼飲み薬
▼漢方薬
▼イオントフォレーシス
▼ボトックス注射
▼交感神経遮断術
▼ミラドライ
▼市販薬で治療したい方はこちら
まとめ
多汗症の方にはいわゆる「発作」と言われるような大量発汗が見られることが特徴です。ふとしたことがきっかけとなって汗のスイッチが入り、滝のような汗をかきます。
一方で汗かきの場合は単に汗をかきやすかったり、汗の量が多かったりすることを指す場合が多いです。
また汗かきは体質、多汗症は後天的に発症するものとも言えますね。もし多汗症だった場合には病院で治療することで汗を抑えられますので、まずは治療を始めてみましょう。