「多汗症の治療を始めたいんだけど、どこの病院に行ったらいいの?」
「皮膚科?内科?何科に行けばいいのかわからない」
私も多汗症治療を始めようと思ったとき、同じようなことに悩んでいました。
- 多汗症治療は何科に行くべきなのか
- 希望の治療方法に合わせた医療機関の選び方
- 医療機関ごとにどのような治療方法があるのか
Contents
基本は皮膚科に行けば問題なし
多汗症治療のマニュアルについてまとめたガイドラインが発行されているのですが、そのガイドラインを発行しているのが「日本皮膚科学会」です。
日本皮膚科学会がガイドラインを発行しているということはつまり、多汗症の治療は皮膚科で主に行われていることを意味します。
基本的な治療方法は皮膚科に行けばできるので、どこの科を受診するか迷っている場合はひとまず皮膚科に行ってみましょう。
多汗症治療は皮膚科以外でもできる
基本は皮膚科となりますが、皮膚科以外で多汗症の治療を行っていないわけではありません。多汗症の症状の出方によっては、皮膚科以外の受診がおすすめとなることもあります。
汗以外にも気になることがあるなら内科
たとえば多汗の症状以外に、
- 疲れやすい
- 近頃、体重が減ってきた
- 血圧が高い
- 不整脈
- 手足の震え
などもある場合は、内科の受診がおすすめです。これらの症状がある場合は甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の可能性も否定できません。
甲状腺機能亢進症は、多汗の症状が出る代表的な疾患です。そのため多汗症の原因を潰すためにも、甲状腺機能亢進症でないか検査されることが多くあります。
汗以外の症状もある場合は、他の疾患がないか確認するために内科で検査しておくのがおすすめです。
皮膚科でも多汗症で受診すれば甲状腺機能亢進症の検査をしてくれることが多いです。甲状腺機能亢進症だった場合はまた違った治療が必要になります。思い当たる症状がある方は、内科を受診した方がよりよい治療を受けられるでしょう。
精神的な要因で汗が出やすい方は精神科(神経内科・心療内科)
人前に出るとき、誰かと会うとき、発汗エピソードがトラウマになってしまっているとき。このようなときに汗がとくに出やすい場合は、精神科の受診も考えてみましょう。
不安を和らげるお薬を飲むことで、緊張をほぐし変なプレッシャーや不安で汗をかいてしまうのを減らすことができます。
精神科と聞くと「何だか行きづらい」と思うかもしれませんが、行ってみると意外と普通の病院と変わらないことが多いです。
美容外科(クリニック)での治療もあり
多汗症の治療は皮膚科の受診がまず基本です。症状に合わせて内科や精神科も視野に入れてみてください。
この他に美容クリニックでも多汗症の治療ができます。たとえば高周波やマイクロ波を使って汗腺を破壊するような治療を行いたいとき、ボトックス注射や手術をしたいときは美容クリニックでも治療が可能です。
多汗症治療の種類をまずは確認しておこう
現在主に行われている多汗症治療には以下のものがあります。
- 塩化アルミニウム液
- イオントフォレーシス
- 飲み薬(内服薬)
- ボトックス注射
- 交換神経遮断術
- ビューホット
それぞれの治療方法ついて簡単に説明しますね。詳しく知りたい方はそれぞれ別の記事で詳細に解説していますので、そちらをご覧ください。
塩化アルミニウム液
塩化アルミニウム液を汗が気になるところに塗って治療を進める、唯一の塗り薬を使った治療方法です。
アルミニウムイオンが汗腺を障害することで、少しずつ汗を出にくくしていきます。
イオントフォレーシス
水道水に電流を流し、そこに手や足をつけることで汗を出にくくする治療方法です。
手のひらや足の多汗症が気になる方によく用いられます。
飲み薬(内服薬)
自律神経の働きを整えたり、汗が出るのを抑えたりする飲み薬は、多汗症治療の基本とも言えるでしょう。
漢方薬で汗が出にくい体質に整える方法もあります。
ボトックス注射
交感神経の働きを抑えるボツリヌス毒素を注射することで、約半年もの期間にわたって汗止めの効果を持続できる治療方法です。
重度の腋窩多汗症であれば保険適用になります。
交感神経遮断術
汗を出す司令塔である、交感神経を手術で取り除いてしまう治療方法です。
手掌多汗症であればほぼ100%の治療効果が期待できます。
ビューホット
エクリン汗腺とアポクリン汗腺の両方を破壊する高周波をワキに当てることで、ワキ汗を抑える治療方法です。
治療費は他の方法と比べるとかかりますが、多汗症を根本から治せる上に傷跡が残りにくい治療方法として知られています。
ミラドライ
ミラドライは、マイクロ波を使って汗腺を破壊する治療方法です。破壊された汗腺の働きが戻ることはないため、半永久的な効果が望めます。
皮膚を切ったり針を刺したりしないので、傷跡が残る心配もありません。
治療方法から何科を受診するか決める
多汗症の治療方法は1つではありません。汗が出る部位や予算、効果、リスクなどによってどの方法を取るか変わってきます。
多汗症治療の基本は皮膚科となりますが、残念ながら皮膚科で上に紹介した治療をすべて受けることはできません。
皮膚科でできる多汗症治療
皮膚科では以下の治療を受けられます。
- 塩化アルミニウム液
- イオントフォレーシス
- ボトックス注射
- 飲み薬(内服薬)
- 交感神経遮断術
ほとんどの治療は皮膚科で受けることが可能です。ただし医療機関によって扱っている治療内容が異なるので注意しましょう。
飲み薬はどこの皮膚科でも貰えますが、塩化アルミニウム液やイオントフォレーシス、ボトックス注射や交感神経遮断術などは受診前に扱いがあるか調べて行くと失敗しません。
内科でできる多汗症治療
内科の場合は飲み薬のみとなります。
そのため甲状腺機能亢進症などのような他の疾患が疑われない限りは、皮膚科で治療を行ったほうが選択肢が増えるでしょう。
精神科でできる多汗症治療
精神科も内科と同様に、飲み薬のみの治療となります。
ただし内科でもらう薬(プロバンサインやグランダキシンなど)とは違い、抗不安薬などを出されるのが特徴です。先生によっては漢方薬を出してくれることもあります。
美容外科(クリニック)でできる多汗症治療
美容クリニックは、病院で扱っていないような最新機器を使ったものから定番の方法まで行っているのが特徴です。
- ボトックス注射
- 交感神経遮断術
- ビューホット
クリニックによって扱っている治療方法はまちまちですが、上記の治療を行っているところが多く見られます。
汗を抑えるのではなく、汗が出ないようにする治療は交感神経遮断術かビューホットのほぼ2択となるのですが、とくに傷跡が残りにくくダウンタイムがないビューホットでの治療は美容クリニックでしか受けられません。
一時的に汗を抑える治療よりも、根本的に汗を解決する治療を行いたい方には美容クリニックでの治療が向いているでしょう。
まとめ
多汗症治療を始めたい方は、まずは皮膚科の受診をすれば問題ありません。ただし皮膚科によっては塩化アルミニウム液やイオントフォレーシスなどを扱っていないケースもあるので、診療内容を確認してから受診するのがおすすめです。
症状に応じて内科や精神科での治療もできます。
しかし多くの治療方法は一時的に汗を止める効果しか持ちません。治療を止めればまた汗は復活してしまうのです。
一時的な効果しかない治療にお金を払い続けるより、高くても根本治療ができる治療を受けた方が良い場合もあります。
塩化アルミニウム液やイオントフォレーシスで一時的に汗を抑えるのではなく、ミラドライのような最新機器を使って多汗症の根本治療がしたい方は、美容クリニックでの治療がおすすめです。