汗をどうにか止めようと、サプリメントを買おうとしていませんか?
もし多汗症のためにサプリメントを買おうか迷っているなら、少し時間をください。そしてこの記事を最後まで目を通してください。
断言しますが、サプリメントで多汗症が良くなることは絶対にありません。その理由を薬剤師の目線から解説していきたいと思います。
Contents
多汗症を治せるの?サプリメントと医薬品の違い
一般的に多汗症に効くと言われているものにはサプリメントと医薬品とがあります。みなさんはそもそも、サプリメントと医薬品の違いってご存知ですか?
サプリメントとは
サプリメントとはつまり、健康食品ことです。健康食品については、厚生労働省によって以下のように説明がされています。
健康食品と呼ばれるものについては、法律上の定義は無く、広く健康の保持増進に資する食品として販売・利用されるもの全般を指しているものです。
法律上の定義がないので、サプリメントは食品と同じ扱いです。
医薬品とは
一方で医薬品は、以下のように定義されています。
- 人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であつて、機械器具等(機械器具、歯科材料、医療用品、衛生用品並びにプログラムでないもの
- 人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であつて、機械器具等でないもの(医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品を除く。)
ちょっと長いのでわかりにくいかもしれませんが、要は「治療や予防に使うもの」、「人の体に影響を及ぼすもの」が医薬品です。
サプリメントは食品なので多汗症は治せない
上の定義を見てもらうとわかるように、サプリメントは食品と変わりません。普段の食事で補い切れない栄養素を簡単に補うのがサプリメントです。
食品と同じ扱いであるため、医薬品のように体へなんらかの影響を及ぼすものは配合できない決まりになっています。
もし手元にサプリメントが何かあるなら、よく見てみてください。医薬品のように「効能効果」は書かれていないはずです。
いかにも何かに効きそうな文言は書いてあるかもしれませんが、しっかりと治療できる旨は書かれていません。サプリメントで疾患を治すことはできないので、そういった言葉を書けないんですね。
本当にサプリメントは多汗症に効かないの?
何度でも言いますが、サプリメントで多汗症は治りません。こういったサプリメントの販売ページは、読者に「これを買えば多汗症が治ると思い込ませること」が非常に上手なので、読み手はどんどん商品に惹かれていきます。
冷静に商品を見てみるとわかるかも
このサプリメントで多汗症が良くなるなら…と、ツライ症状を抑えるために手を出しそうになる気持ちはとてもわかります。
でもここで一旦、冷静になってください。
- サプリメントに効能効果はありません。
- 汗に効く成分が本当に入っているのなら、法律上サプリメントとしては販売できません。
- 販売ページをしっかり読むと、どの商品にも「多汗症を治す」「汗を抑える」とは絶対に書かれていません。
これら3つのことを頭に入れて多汗症のサプリメントの販売ページを見てみましょう。とくに「多汗症を治す」「汗を抑える」とは絶対に書かれていない点はチェックしてみてください。
どの商品にも絶対に書かれていません。
実際にサプリメントの成分を見てみよう
試しにある多汗症に効くと言われているアセッパーの成分を見てみましょう。
澱粉、リンゴエキス末、クロレラ粉末、シャンピニオンエキス、渋柿、大豆抽出物、緑茶抽出物、コーンシルクエキス、アサイー、カラハリスイカエキス末、コエンザイムQ10、豚胎盤抽出物、安定剤、ステアリン酸カルシウム、微粒二酸化ケイ素、結晶セルロース、トマト色素
太字にしているものが、メーカーが汗やニオイケア成分として配合しているものです。
りんごを食べて汗が止まったことはありますか?
アサイーを食べて汗が止まったことはありますか?
ないですよね。どの成分も多汗症の治療として認めらているものには一切使われていません。
サプリメント以外でどうやって多汗症を治すか
サプリメントが多汗症に効かないと聞いて、衝撃を受けた方もいるかもしれません。しかし本来、多汗症の治療とは、サプリメントではなくきちんとした方法で治療していくものです。
治療方法については、それぞれ詳しく解説した記事があるので、気になる治療方法がありましたらそちらからチェックしてみてくださいね。
イオントフォレーシス
塩化アルミニウム液
飲み薬(内服薬)
ボトックス注射
交感神経遮断術
ビューホット
ミラドライ
まとめ
法律上サプリメントには、効能効果のある成分を配合することはできません。そのためサプリメントで多汗症の症状を抑えることは残念ながらできないのが現状です。
いかにも効きそうな言葉に惑わされないように注意してください。サプリメントに高いお金を出すのは非常にもったいないです。本当に効果が認められている治療を選びましょう。