世の中にはさまざまな種類の多汗症があります。
- 手掌多汗症(手のひら)
- 腋窩多汗症(ワキ)
- 足底多汗症(足の裏)
- 頭部顔面多汗症(顔、頭)
これらの多汗症は、部分的に大量の汗が出ることから、局所性多汗症とも呼ばれています。一方で部位は関係なく全身に汗をかく多汗症が全身性多汗症です。
とくに
- お尻
- 背中
- 太もも
- 胸
のあたりに汗をかきやすい状態を全身性多汗症と呼びます。今回はこの全身性多汗症の症状や原因、治療方法について詳しく解説します。
汗をかく範囲が広くて困っている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。タメになる情報をお届けします!
Contents
全身性多汗症の症状(実体験)
このブログを書いている私も、実は全身性の多汗症です。
私が汗をとくにかきやすいのは、
- 顔
- 脇
- 背中
- お尻
ですね。
とにかくあちこちから異常な量の汗をかきます。たとえば顔なら、ただじっと座っているだけなのに垂れ落ちるくらい汗をかくほどです。脇はいつも湿っているので好きな服を着るなんてできません。
背中も全体的に汗をかくのでこういう背中と布地の接地面積が少ないキャミソールなんかを着た日には、上から着ている服が大変なことになります。
お尻の汗もすごいので、椅子に汗のあとがついたりお尻の部分だけ服が変色したりなんてこともしょっちゅうです。
このように、部位を限定せずにあちこちから異常なほど汗をかいてしまう疾患を、全身性多汗症と呼びます。
全身性多汗症の原因
全身性多汗症は、大きく原発性多汗症と続発性多汗症の2つにわけられます。
原発性多汗症
とくに他の疾患がないのに多汗症の症状が出ている状態。多汗症の原因を探ろうとしても理由がわからないことが多い。
続発性多汗症
他の疾患などが引き金となって起こる多汗症。原因となる疾患を治療すると、汗の症状も落ち着いてくる。
多汗症の症状を起こす疾患には、
- 結核
- 甲状腺機能亢進症
- 循環器疾患
- 感染症
- 悪性腫瘍
- 糖尿病
- 低血糖
などがあります。
とくにこういった疾患がないのに全身性多汗症の症状が出ている場合は、原発性多汗症です。以下の項目に2つ以上当てはまると、多汗症だと診断されます。
- 最初に症状がでるのが 25 歳以下であること
- 対称性に発汗がみられること
- 睡眠中は発汗が止まっていること
- 1 週間に 1 回以上多汗のエピソードがあること
- 家族歴がみられること
- それらによって日常生活に支障をきたすこと
全身性多汗症の治療方法
全身に汗をかく全身性多汗症は、汗が出る部位ごとにそれぞれ治療方法を選んでいくのがベストです。
1つの方法で治療しようと思わず、いくつか併用していきましょう。
塩化アルミニウム液
脇、手のひら、足、顔、頭
塩化アルミニウム液は、汗腺をアルミニウムイオンが少しずつ障害していくことで汗を抑えるものです。2週間ほど使い続けると効果が出てきます。
塗るだけで済むのと、他の治療方法と比べると料金がリーズナブルなことから始めやすい治療です。
ネットでも多くの塩化アルミニウム液が販売されているので、気軽に治療できます。塩化アルミニウム液の濃度は3.9%~25%とありますので、購入するときは濃度を必ずチェックしましょう。
濃度は濃いほど汗止めの効果も高いです。ただし人によってはヒリつく感じが出るので、肌が弱い方は低濃度から試したほうが安心です。ちなみに25%濃度の塩化アルミニウム液は、パースピレックスしか販売されていません。
イオントフォレーシス
脇、手のひら、足の裏
イオントフォレーシスは、電流を通した水道水に汗が手や足をつけるだけで治療ができる方法です。水素イオンが汗の出口を狭くするため、汗が出にくくなると考えられています。
1回約20分の治療を週に1~2回、合計で20回行うと一旦は治療が終了です。通うのが面倒な方には、家庭用のイオントフォレーシスも販売されています。
ほとんどの医療機関では手や足にしかイオントフォレーシスができませんが、市販のDermadry(ダーマドライ)は脇にも使える優れものです。
わざわざ病院に通わず自宅で好きなタイミングで使えるのもあり、家庭用のイオントフォレーシスはとてもおすすめです。
家ですれば、イオントフォレーシスをしている20分でYou Tubeを見たりNetflixを見たりなど好きに暇つぶしができますね。
ボトックス注射
脇、手のひら、足の裏、頭、顔
汗が気になる部位に、ボツリヌス毒素を注射する治療です。汗は交感神経が興奮することで出るため、交感神経の働きを抑えてしまえば汗の量も減らせます。
ボトックス注射は、ボツリヌス毒素の働きによって交感神経の働きを抑え、汗を減らすものです。1回の注射で4~9か月ほど効果が続くため、できるだけ長い期間にわたって汗の悩みから解放されたい方に選ばれています。
費用は両脇で10万円前後のところが多いようです。
何か月も汗が止まる状態が続くので汗を気にしすぎなくなったことにより、ボトックスの注射の効果が切れているはずなのに汗が出なくなったという声も聞きます。
飲み薬(内服薬)
脇、手のひら、足の裏、頭、顔
飲み薬には、
- 汗が出にくい体質に整えるお薬
- 汗が出るのを強制的に抑えるお薬
- 精神を落ち着かせるお薬
の3つの種類があります。
体質を変えるのは主に漢方薬を使うのですが、漢方薬は自分に合うのを見つけるのにも、効果が出始めるのにもやや時間がかかることがデメリットです。数か月は見ておいたほうが良いと思います。
汗が出るのを抑えるお薬は、プロバンサインが有名ですね。「絶対に汗をかけない」ときに飲むと良いと思います。私はお守りとして常に持ち歩いていました。
私は多汗症で通っていた病院の先生に、自分からプロバンサインをください!と言って処方してもらいました。
精神を落ちつかせるお薬は、「汗が出たらどうしよう」と思うことで余計に汗をかきやすい方におすすめです。
交感神経遮断術
脇、手のひら、顔、頭
汗を出す司令は交感神経が出しています。この交感神経を手術で取り除くのが、この交感神経遮断術です。
とくに手のひらの汗に対して高い効果を示します。ほぼ100%の確率で汗が止まる治療方法です。しかし顔や頭、脇の場合は個人差が出やすいと言われています。
また代償性発汗といって、他の部位から出る汗の量が増えてしまう副作用も知られています。メリットとデメリットの療法がありますので、よく考えてから行いたい治療です。
皮膚に傷をつけるので、傷跡も残ってしまいます。
ビューホット
脇
極細の針を脇に刺し、針先から出る熱で汗腺を破壊する治療方法です。切らずに済む上に、効果が半永久であることが特徴になります。
汗腺を破壊するのでワキガの治療にも使われています。片脇で最短約20分、施術当日からいつも通りの生活が送れることが魅力です。
針を使うので、しばらくはどうしても脇全体に針の跡が残るものの、1か月ほどで目立たなくなっていきます。ただし治りが遅い方は1年くらいかかることもあるようです。
ミラドライ
脇
切らずに脇汗を半永久的に止められる治療として、ミラドライも代表的です。むしろ切らない手術といえばミラドライをイメージされる方が多いと思います。
ミラドライは脇にマイクロ波を当てることで、汗腺を破壊する治療です。ビューホットのように針は使わないため、治療後は脇が少し腫れるだけで跡は何も残りません。
- 切らない
- 跡が残らない
- 半永久敵に脇汗が止まる
と、まさに良いことづくしの治療とも言えます。ただし費用は30~35万円程度と、決して安くはありません。
安くはありませんが、一時的にしか効果がない塩化アルミニウム液やイオントフォレーシスを、ボトックス注射を何年も続けるくらいなら、ミラドライで治療してしまったほうが快適な生活を送れます。
一時的な汗止めではなく、根本的に脇汗を治療したい方に1番おすすめの治療方法です。
全身性多汗症は部位別に治療を行いましょう
全身性多汗症の方は、汗が出やすい部位ごとに治療を行っていくことが1番です。理想は飲み薬で汗が出にくい体に近づけながら、塩化アルミニウム液やイオントフォレーシスなどを使って治療をしていくこと。
ただし飲み薬は、体質が変わるまで数か月かかりますし、汗を抑えるプロバンサインは飲んでいるときしか効きません。
塩化アルミニウム液やイオントフォレーシスも、治療をやめればまた症状が戻ります。多汗症は時間が経つと症状が和らいでくることも多いので、気長に付き合うことも大切です。
なお脇汗に関してはミラドライという最新の治療を使うことで、傷跡を残さず半永久的に汗を止められます。汗を止めるのではなく、出なくしたい方はぜひミラドライを検討してみてください。
うまく汗の症状を抑えられれば、たとえ完治できなくても生活はガラリと変わります。合う治療方法が見つかるまではツライ思いをするとは思いますが、諦めずに治療を続けることが大切です。