多汗症の基礎知識

顔・頭の汗を抑える方法とは?頭部顔面多汗症の治療方法を徹底解説!

多汗症は手のひらや足の裏、脇など人によって部位が違いますが、中でも顔や頭は汗を隠すのが難しいため、困っている方がとても多いものです。

多汗症の発作が出てしまえば、汗で髪の毛が貼り付くほど。顔や頭から汗が出やすいものを頭部顔面多汗症と呼びます。

今回は顔や頭の汗を抑えるための治療方法を、ガイドラインにのっとって紹介していきます。多汗症は治療で抑えることが可能です。一時的に発汗をかなり抑えてくれる飲み薬などもありますので、ぜひこの記事を参考に治療を始めてみてください。

とにかくまずは、治療を始めることが第一歩です。汗の悩みとは無縁の生活を送りましょう。

頭部顔面多汗症の治療方法

多汗症治療に関するガイドラインは、日本皮膚科学会が出している「原発性局所多汗症診療ガイドライン」をもとに進めていくことが基本です。

このガイドラインを見れば、どの多汗症にどの治療方法が推奨されているのかがわかります。

頭部顔面多汗症でメインに行われる治療方法は以下の通りです。

  1. 塩化アルミニウム液
  2. 内服療法(飲み薬)
  3. ボトックス注射(BT-A局注)
  4. 交感神経遮断術

 

塩化アルミニウム液、内服療法、ボトックス注射はどれも推奨度がB~C1となっています。

 

推奨度の分類
  • A:行うよう強く勧められる
  • B:行うよう勧められる
  • C1:行うことを考慮してもよいが、十分な根拠がない
  • C2:根拠がないので勧められない
  • D:行わないよう勧められる

推奨度によって上記のように分類されているので、交感神経遮断術以外の方法は「行うよう勧められる」~「行うことを考慮してもよいが、十分な根拠がない」に当てはまることがわかります。

「十分な根拠がない」と書かれると、「頭や顔の汗は一生治らないのかな?」と不安になってしまうかもしれませんが、安心して読み進めてくださいね。

これから紹介する治療方法を実践すれば、少しずつ変わってくるはずです。

塩化アルミニウム液

塩化アルミニウム液を使うことで汗が出なくなるのは、2つの理由が考えられています。1つは塩化アルミニウム液が汗腺を塞ぐという考えです。

汗腺にフタをすることで汗が出ないようにするんですね。もう1つは塩化アルミニウム液が汗腺を障害することで汗を出にくくするという考えです。

少し前まではフタをする方の考え方が一般的でしたが、近頃は後者の汗腺を障害するという考え方が支持されています。

塩化アルミニウム液の効果

塩化アルミニウム液は脇や手のひら、足の裏の多汗症であればある程度の効果が期待できるものの、顔や頭部の場合はまだデータが十分ではありません。

一応クロニジン塩酸塩を服用しながら塩化アルミニウム液も使用した例では、治療開始から2~3週間で症状が改善したとの報告があります。

また塩化アルミニウム液は、刺激があるので顔に使うと肌荒れしていまうリスクもあることから、頭や顔にはやや使いにくいのが現状でしょう。

塩化アルミニウム液の費用

塩化アルミニウム液は1本1,000~2,000円ほどで購入できます。ネットでも購入できるので、気軽に治療を始められるアイテムです。

塩化アルミニウム液はどこで買える?

多汗症治療を行っている医療機関、美容クリニック、ドラッグストアや薬局で購入できます。医療機関や美容クリニックで売られているものは濃度が20~30%前後のものが多いです。

一方でドラッグストアや薬局で売られているものは濃度が10%前後と低めになっています。濃度が高いほど効果が出るものの、赤みやかゆみなどの副作用も起きやすくなりますので、初めから高濃度のものは使わず、まずは低濃度のもので肌に合うか、効果があるかを確認するのが良いでしょう。

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内服療法(飲み薬)

頭や顔の多汗症には飲み薬も有効です。

汗をかきにくい体を作っていくベースとなる飲み薬(漢方薬、グランダキシンなど)と、どうしても汗をかきたくないときに使うお薬(プロバンサイン)とに主にわけられます。

内服療法(飲み薬)の効果

飲み薬がもっとも効くとされている多汗症が、頭部顔面多汗症です。治療の推奨度は「行うよう勧められる」~「行うことを考慮してもよいが、十分な根拠がない」となっています。

十分な根拠がないと書かれると効かないのではと思うかもしれませんが、頭部顔面多汗症では「積極的に試みてよい」とされているので、試さない手はないでしょう。

頭部顔面多汗症はイオントフォレーシスでの治療ができないため、漢方薬やグランダキシンなどの飲み薬を飲みながら自律神経のバランスを整えていき、どうしても汗をかきたくないイベントのときだけプロバンサインで汗を止めてあげるのが効果的です。

内服療法(飲み薬)の費用

どのお薬を処方してもらうかによって、少々値段は異なります。たとえばグランダキシンなら1錠13円ほどです。プロバンサインは1錠10円ほどです。

診察費や調剤料などを合わせても2週間分で2,000~3,000円くらいだと考えられます。ただし検査内容によってはこれより費用が上がることもありますので、目安としてお考えください。

内服療法(飲み薬)はどこで受けられる?

飲み薬は医療機関を受診することで処方してもらえます。内科や皮膚科を受診される方が多いです。精神的な要因が大きい場合は精神科を受診しても処方してもらえます。

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ボトックス注射

ボトックス注射は、ボツリヌス毒素の働きによって交感神経の働きを抑え、汗を出ないようにする治療方法です。1度注射すれば4~9か月ほどは汗止めの効果が持続します。

長い期間、汗を気にせずに過ごせるのでやや費用がかかるものの、人気の治療方法となっています。

ボトックス注射の効果

頭部顔面多汗症の患者さんにボトックス注射をし、1か月後に検査をしたところ、注射をした部分からは汗をかいていなかったことが明らかになっています。

ボトックス注射を行ったすべての例で明らかに汗の量が減っていることから、かなり有効な治療方法だと言えるでしょう。頭皮や頭、鼻などに部分的な注射でもしっかりとした汗止めの効果が出ています。

ボトックス注射の費用

頭部顔面多汗症には保険が適用されません。注射をする範囲によっても費用が変わりますが、およそ3~5万円ほどを想定しておくとよいでしょう。

ボトックス注射はどこで受けられる?

多汗症治療を行っている医療機関や美容クリニックで受けられます。医療機関によって費用が異なるので、受診前に調べておくと安心です。

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交感神経遮断術

汗は交感神経の働きによって分泌されます。交感神経遮断術は交感神経そのものを取り除くことで汗が出ないようにする治療方法です。

頭部顔面多汗症の場合は「行うことを考慮してもよいが、十分な根拠がない」のC1に分類されています。

交感神経遮断術の効果

推奨度はC1となっているものの、治療の有効率は63~80%です。人によってやや効果に差があることがうかがえますね。ただし多くの場合では80%以上の効果が認められています。

効果神経遮断術は高い治療効果が期待できるものの、代償性発汗が高い確率で起こるため、十分にメリットとデメリットを加味した上で行う必要があります。

交感神経遮断術の費用

一般的に30万円前後かかります。手術となるため他の治療方法と比べると費用が高めです。ただし保険適用となる場合は、10万円前後の負担となります。

交感神経遮断術はどこで受けられる?

多汗症治療を行っている医療機関や、美容クリニックで受けられます。

保険適用となるかどうかは、あらかじめ医療機関に確認しておくと安心です。

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まとめ

頭部顔面多汗症は、塩化アルミニウム液や飲み薬、ボトックス注射や交感神経遮断術などの方法を使って治療していきます。

始めやすいのは塩化アルミニウム液と飲み薬の組み合わせでしょう。比較的安い費用で始められることと、推奨度が高いことから多くの方がこれら2つの方法を選択しています。

それぞれの治療方法にメリットやデメリットがありますので、自分に合う方法で治療を進めていきましょう。治療を始めることで、悩みが良い方向に前進するはずです。

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