「手がいつも湿っていて、紙を持つとふやけてしまう」
「汗が気になって、人に触れるときに気になってしまう」
手汗が多いことに悩んでいませんか?暑いわけでもないのに手の汗だけかいてしまうのは、もしかしたら多汗症かもしれません。
とくに手に汗をかきやすい場合を手掌多汗症(しゅしょうたかんしょう)と呼びます。
この記事ではなぜ手のひらに汗をかきやすい原因やみんなの症状、治療方法などを詳しく解説していきます。
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手汗をかきやすいのは健康な証拠?
汗っかき=健康というイメージがどうしても世間では持たれています。そのため手汗で悩んでいると誰かに相談しても、「代謝が良いだけだよ」とか「健康な証拠だよ」と言われて終わってしまうこともあるでしょう。
しかし生活に支障が出るほどの手汗は、言い方は悪いかもしれませんが、決して普通の状態ではないのです。汗が必要以上に出てしまう病気として、多汗症というものがあります。
大量の手汗は、この多汗症になっている可能性があるのです。
- 手のひらから滴るほどの汗をかく
- パソコンのキーボードがすぐダメになる
- 汗を気にするとよけいに増えてしまう
- 睡眠中は汗をかかないが、お昼や夕方ごろは多くかく
- 紙を触ると湿ってぐちゃぐちゃになる
もしもこのような症状が出ているのなら、多汗症の可能性が高いと考えられます。
自分が手掌多汗症かどうかを調べる方法
多汗症?それとも、ただの汗かき?と判断がつかないこともあるでしょう。そこでここでは、原発性局所多汗症診療ガイドライン 2015 年改訂版で示されている、多汗症の定義をご紹介します。
- 最初に症状がでるのが 25 歳以下であること
- 対称性に発汗がみられること
- 睡眠中は発汗が止まっていること
- 1 週間に 1 回以上多汗のエピソードがあること
- 家族歴がみられること
- それらによって日常生活に支障をきたすこと
これらのうち、どの組み合わせでもよいので2つ以上当てはまれば、多汗症と診断されます。
多汗エピソードとは、手のひらから汗が滴ってきたり電気機器が壊れたりなど、汗で困った体験のことです。
多汗症は遺伝も関係あると考えられているため、ご家族に多汗症の方がいる場合はご自身もそうである可能性が高くなります。
手汗・手掌多汗症の症状
手汗のせいで学校生活や仕事がうまくいかずに悩んでいるのは自分だけ?汗の悩みは周りに相談しにくいことも多いので、周りを見渡すと、あたかも自分だけが悩んでいるような気持ちになります。
しかし手掌多汗症に悩んでいる方は、意外にも多いものです。
私は物凄く手汗がひどいです。
よくそんなことをいうと、 「そんなの誰でも」とか「私もだよ 」 といわれますが、 私の手汗の量は尋常じゃありません 。
軽く手を握ったことのある友達でも 、手汗のひどさを指摘してくるほど ひどいです。今は居ませんが、彼氏がいるとき、 「手つなご!」 と誘われますが、私は必ず断ります 。
そうすると大抵付き合っていた人は 、ガッカリという表情になります。
引用:知恵袋 (一部抜粋)
自分は小さい時から手汗がひどい体質です。また、手汗のせいで手のひらには湿疹がよく出たりします。
(最近はだいぶ落ち着きましたが…)この体質のせいで小さい時は人に手を触られた時に『うわっ』と露骨に嫌な顔をされてしまいました。
(中略)
高校に上がってからは手汗でザラ紙なんかが濡れたり、ノートがよれたり、インクが滲んだりするので手袋をつけて授業、テストなどを受けるようにしています。
今年、大学受験なのですがセンターで手袋の使用を認めてもらうために今、色々と手続きをしています。
引用:知恵袋 (一部抜粋)
手汗足汗が半端ないです
手汗 足汗は緊張したとき 暑いとき 手のひらだけでなく指の表側(手の甲側)にまで汗をかいています。ふゆのよほど寒い時でない限り年中かいています。
光に当たればテカるし、酷い時は滴り落ちてきます。足の裏から汗が出てフローリングなどを歩くと足跡がつきます。引用:知恵袋 (一部抜粋)
手汗についてです。高校1年生です。
私は手汗が酷くて握手やハイタッチなどが出来ません。
ながれでしたりするとなんか濡れてる笑と言われ、ショックでした。親にも相談できないのでネットでクリームなどを買うことができません。
高校生なのであまり高いものも買えません。
家で一人でいる時でも妹といる時でも緊張していないのに常に濡れている状態です。引用:知恵袋 (一部抜粋)
高1女子です。結構前からずっと気にしているのですが、手汗が半端ないです…。
手汗が多いと不便なこともたくさんあって、人に物を受け渡しする時などなるべく手が触れないようにいつも気を使っています。
ひどい時は滴るほどではないですが手のひらが濡れてみえます。
これじゃあこの先恋人と手を繋ぐことさえ難しいです…。引用:知恵袋 (一部抜粋)
手汗に悩んでいる方は、このようにたくさんいます。みんな隠しているだけで、近くにも同じように悩んでいる方がいるかもしれませんね。
- 手が触れると汗についてつっこまれる
- 手汗が出やすい影響で湿疹ができる
- 紙が塗れるので手袋をして授業やテストを受ける
- 手が他人に触れないように気にしないといけない
悩みは人それぞれですが、手汗のせいで余計なストレスが発生している方は少なくありません。
大量の手汗・手掌多汗症の原因
そもそも汗は体温調節のために出るものなのですが、なぜ手汗は暑さに関係なく出てしまうのでしょうか。
またなぜ、生活に支障が出るほどの汗をかいてしまうのでしょうか。手掌多汗症の原因は大きく、自律神経によるものと他の疾患が原因のものとにわけられます。
自律神経失調症
汗は交感神経が興奮することで出る仕組みです。交感神経と副交感神経をまとめて自律神経と呼びます。
自律神経は通常であればそれぞれがうまくバランスを取り合って働いているため、どちらかが働きすぎたりどちらかの働きが落ち過ぎたりということはありません。
しかしなんらかの原因によってバランスが崩れてしまうと、自律神経失調症になってしまいます。
多汗症患者の場合、自律神経失調症になると交感神経が高ぶりやすくなるため、少しの刺激で汗が出やすい状態になってしまいます。
遺伝
まだハッキリとしたことはわかっていませんが、多汗症は遺伝する可能性がある疾患です。両親や兄弟姉妹に汗で悩んでいる方が他にもいる場合は、もしかしたら手汗をかきやすい遺伝子を持っている可能性があります。
多汗症患者の約3人に1人は家族歴があることがわかっていますので、ご家族に同じような症状に悩んでいる方がいる場合は、遺伝の可能性もあるでしょう。
ストレス
手汗は緊張することでも普段よりかきやすくなりますが、ストレスがたまりやすい生活を続けると緊張しなくても手汗をかきやすくなってしまいます。
ストレスは自律神経の働きを乱れさせるため、交感神経が高ぶって手汗をかいてしまうのです。
その他の疾患
多汗症が他の疾患が原因となって起こることもあります。たとえば以下のような疾患です。
- 循環器疾患
- 感染症
- 悪性腫瘍
- 甲状腺機能亢進症
- 末梢神経障害
このように他の疾患が原因で起こる多汗症をとくに、続発性多汗症と呼びます。逆に上記のような基礎疾患がないのに起こる多汗症を原発性多汗症と呼ぶのが特徴です。
手汗が気になる場合は、念のため何か疾患がないか調べてもらいましょう。
手汗・手掌多汗症の治療方法
手汗の治療は、ガイドラインによって塩化アルミニウム液やイオントフォレーシス、ボトックス注射や交感神経遮断術を行うことが推奨されています。
それぞれの治療方法について見てみましょう。
塩化アルミニウム液
安いものだと1本1,000~2,000円で手に入り、しかも手のひらに塗るだけと簡単に治療できるのが塩化アルミニウム液の特徴です。
1~2週間ほど使い続けることでアルミニウムイオンが汗腺を障害していくため、少しずつ汗の量が減っていきます。
ただしやや皮膚への刺激性があることと、効果が出るまでに少し時間がかかる点はデメリットです。とはいえもっともチャレンジしやすい治療方法と言えるでしょう。
治療をやめると再び汗が出てしまうので、使い続ける必要もあります。
イオントフォレーシス
イオントフォレーシスは、手汗の治療でよく使われる方法です。水道水が入った容器に手のひらを浸し、微弱な電流を流していきます。
水道水に電流を流すことで発生する水素イオンが、汗腺を塞いでいくことで汗が出にくくなると考えられている治療方法です。
1回の治療で15~20分、これを週に1~2回行います。合計で10~12回ほど治療したころに汗止めの効果が出てくることが多いです。
ボトックス注射
ボツリヌス毒素を手のひらに注射することで、手汗を止めます。ボツリヌス毒素には交感神経の働きを抑える効果があるので、汗が気になる部分に注射することで交感神経の働きが鈍くなり、汗が止まるのです。
1度注射をすれば4~6か月にわたって汗止めの効果が続くので、非常に人気の治療方法です。
交感神経遮断術
汗は交感神経が高ぶることで出ることから、手術で交感神経を取り除いてしまおうというのが、この交感神経遮断術です。
手掌多汗症の方が交感神経遮断術を受けた場合、ほぼ100%の方で汗止めの効果が出ています。一時的に汗を抑えるのではなく、根本的に治療をしたい場合は交感神経遮断術を検討してみるのもよいでしょう。
もっと詳しく手掌多汗症の治療方法を知りたい!という方は、以下の記事でさらに詳しく解説していますので、こちらもぜひご覧ください。
まとめ
生活に支障が出るレベルの手汗は、手掌多汗症の可能性があります。まずは皮膚科を受診して、他に基礎疾患がないかどうかを調べてもらうのが安心です。
多汗症であってもそうでなくても、手汗は治療によって抑えることが可能なので、良いと思ったものやできそうだと思ったものからぜひ始めてみましょう。
何も始めなければ何も変わりません。もちろん悩んでいるだけでも手汗は減りません。今は多汗症の認知度も高まってきましたので、自分に合う治療を見つけて続けてみることが大切です。