「周りは涼しそうな顔をしているのに、自分だけ顔中から汗が吹き出してしまう…」
このような症状にお悩みではないでしょうか。
顔から大量の汗が出てしまうその症状、もしかしたら顔面多汗症かもしれません。
多汗症は、汗かきなだけで健康な証拠ではと思われてしまうこともあるため、ツライ思いをしている方もたくさんいるでしょう。
この記事では顔面多汗症の原因や症状、私が実際に体験した多汗症の悩みをご紹介していきます。
Contents
汗かき=健康な証拠は嘘
多くの方は多汗症について知識がないため、顔の汗に困っていると周囲に相談しても「代謝が良いだけだよ」、「健康な証拠だよ」と言って取り合ってくれません。
生まれつき汗かきな方はたしかに代謝が良いのかもしれませんが、顔面多汗症は話が別です。顔から大量の汗が出てくるのは代謝が良いわけでもなく、健康だからでもなく、多汗症という疾患が原因。
そもそも周りの人が汗をかいていないのに、自分だけダラダラと滴るほど汗をかいている時点で健康とは言えません。
周りの理解がないせいで治療を始めていない多汗症の方もいますので、まずは多汗症が1つの疾患であることを周りの方も含めて理解しておく必要があります。
周りが多汗症についてなかなか理解してくれないのがツライところです。しかし多汗症はれっきとした疾患の1つ。だから病院に行けばきちんと治療も行えます。「汗かきに悩なんでるなんて医者に言ったら笑われるかな?」と心配する必要もありません。
そもそも顔面多汗症ってどんな症状が出るの?
「顔の汗に悩んではいるけど、自分が多汗症なのかわからない」
そのような方もいるかと思います。どのような症状が出ていたら多汗症なのかをまずは確認しておきましょう。
多汗症の定義
原発性局所多汗症診療ガイドライン 2015 年改訂版によると、多汗症は以下のように定義されています。
- 最初に症状がでるのが 25 歳以下であること
- 対称性に発汗がみられること
- 睡眠中は発汗が止まっていること
- 1 週間に 1 回以上多汗のエピソードがあること
- 家族歴がみられること
- それらによって日常生活に支障をきたすこと
上記の項目のうち、2つ以上に当てはまれば多汗症と診断されます。
多汗症の平均発症年齢は25歳であることから、目安として初期症状が25歳以下で出ていることとされています。多汗症は遺伝の可能性も否定できないため、家族歴もポイントです。
多汗のエピソードというのは、たとえば暑くもないのに急に顔から滴るほどの汗が出てくるといった、いわゆる多汗症の発作のことを指します。
これらのうち、どの組み合わせでも良いので2項目以上当てはまることがあれば、多汗症です。
実際に私が経験した多汗のエピソードについては、以下の記事で紹介しているので、ぜひこちらもご覧ください。
顔面多汗症の症状
顔に汗をかくことは多汗症じゃなくても普通のことです。ではどのような症状が出たら顔面多汗症と言えるのでしょうか。
- じっとしているのにダラダラと汗が出てくる
- 急にのぼせたような感じになり、大量の汗をかき始める
- 汗が大量に出る→止まる、を繰り返す
- 1人でいるときは汗をかかないが、周りに人が多くいると汗をかきやすい
一例にはなりますが、上記のような症状が出ているのなら顔面多汗症の可能性が高いでしょう。
私自身も顔面多汗症を持っているのですが、上記のような症状が良く出てました。
たとえば授業中にだんだん体が火照ってきて、汗がダラダラ滴ってくることは何度も経験しています。吹き出るような汗はしばらくするとピタリと止まり、また体が火照ってくると再び滝のような汗をかくのです。
このような症状が毎日のように続くのですが、不思議と言えに帰って1人でいるときは症状が出ません。
顔の汗はどうやっても隠しようがないため、本当に悩まされました。顔面多汗症持ちの私がこれまでにどのような症状に悩まされてきたのかは、以下の記事で詳しく紹介していますのでこちらも良ければ参考にしてみてください。
顔面多汗症の原因は?なぜ汗が大量に出てしまうのか
多汗症の原因は代謝が良いからでもなく、健康だからでもありません。なぜ多汗症になってしまうのか、理由をいくつかご紹介します。
自律神経失調症
汗を出すか出さないかは、自律神経(交感神経と副交感神経のこと)が制御しています。交感神経が優位になると汗が出て、副交感神経が優位になるとおさまるのが特徴です。
自律神経失調症になると交感神経と副交感神経のバランスが乱れるため、汗の調節がうまくいかなくなってしまいます。
遺伝
多汗症患者のうち、約3人に1人は家族内での発症が見られます。両親が多汗症の場合、子供も多汗症になってしまう可能性があるということです。
どの遺伝子が原因で遺伝してしまうのかはまだわかっていませんが、近親者に多汗症の方がいる場合は発症する可能性が高くなります。
ストレス
ストレスをためこむと、自律神経が乱れることがわかっています。また不安が積もり積もって発汗につながることも少なくありません。
多汗症は「汗が出たらどうしよう」という不安がトリガーとなって発作を起こすことも多いので、ストレスをコントロールして不安を感じないようにしていくことも大切です。
その他の疾患
自律神経の乱れや遺伝ではなく、他の疾患が原因となって汗をかきやすい状態になっていることもあります。代表的なのが甲状腺機能亢進症です。
甲状腺機能亢進症になると代謝が亢進されるため、ちょっと動くだけでも汗をかいたり疲れやすくなったりなどの症状が出ます。
多汗症の治療で病院にかかると、まずは甲状腺機能亢進症の有無を調べるところも多いです。
他に薬の副作用や悪性腫瘍、感染症などでも発汗が亢進することがあります。
どうすれば顔の汗を止められるか
顔の多汗症と言っていますが、厳密に言うと「頭部顔面多汗症」です。頭部顔面多汗症の治療は塩化アルミニウム液、内服薬、ボトックス注射、交感神経遮断術といった治療方法が主となります。
塩化アルミニウム液
塩化アルミニウム液は、アルミニウムイオンが汗腺を障害することで汗を止めるものです。水のようなサラサラとした液体状になっているものが多く、汗が気になるところに繰り返し使用することで、汗を抑えていきます。
安価ではありますが皮膚への刺激が強いことと、効かない方はどれだけ長期間使っても効果が出ないことが特徴です。
ただし一般的な治療方法となっているのと、効く方にはとても効くのでまずは試してみてください。
内服薬(飲み薬)
飲み薬で交感神経の働きを抑えたり、自律神経のバランスを整えることで汗の量を調節していきます。
多汗症の飲み薬として有名なのはプロバンサインでしょうか。しっかりと汗を抑えてくれるので、どうしても汗をかきたくないときに服用するのに向いています。
この他に抗不安薬なども使われることが多いです。
ボトックス注射
ボトックス注射とは、ボツリヌス毒素の働きによって交感神経の働きを抑えるものです。交感神経の働きが弱くなれば汗も出なくなります。
効果は一時的なものとなりますが、それでも1度注射するだけで4~9か月ほどは汗が止まった状態が続くのが特徴です。
交感神経遮断術
手術によって交感神経を取り除く方法です。交感神経そのものが取り除かれるので、非常に高い効果が期待できます。
ただし皮膚に切り込みを入れるため、少しではありますが傷が残ることは覚悟しておかなければなりません。
また代償性発汗といって、顔の汗が止まった代わりに脇や手など他の部位からの発汗量が増えるリスクが高いことも特徴です。
まとめ
顔から汗が出ると、隠すにも隠せないのでツライですよね。私自信も頭部顔面多汗症であるため、とてもツラさがわかります。
とくに他の疾患がなければ、多汗症は自律神経の乱れが原因です。塩化アルミニウム液やボトックス注射、飲み薬などを利用して、汗をうまくコントロールしていきましょう。
多汗症を根本的に治したい方は交感神経遮断術もあります。どの治療方法にもメリットやデメリットがありますので、自分に合った治療を見つけてみましょう。
頭部顔面多汗症の治療方法については、以下の記事でさらに詳しく解説していますので、こちらもぜひ参考にしてみてください。