多汗症の基礎知識

多汗症とは?ただの汗っかきじゃない「病気」の1つ!原因や治療方法を説明

多汗症は読んで字のごとく汗が多く出てしまう病気のことです。よく「ただの汗っかき」と混同されることがありますが、汗っかきとは違います。

多汗症とは病気です。とはいえ高血圧や骨粗鬆症とった誰でも知っている疾患とは違い、あまりメジャーな疾患ではないので多汗症についての知識を持っている方は多くありません。

ここでは多汗症とはどういう病気でどういう症状が出るのか、何が原因で起こるのかを詳しくご説明していきます。

多汗症は大きく2種類にわけられる

多汗症には、

  • 全身性多汗症
  • 局所性多汗症

の2種類があります。全身性多汗症は言葉通り体のあちこちに多くの汗をかく症状を指します。一方で局所性多汗症は頭部や顔面、脇、手のひらなど局所的に汗をかくものです。

全身性多汗症と局所性多汗症はそれぞれさらに、

  • 原発性多汗症
  • 続発性多汗症

に分類されます。

まずはこの原発性多汗症と続発性多汗症について詳しく見ていきましょう。

原発性多汗症

原発性多汗症とは、とくに原因がハッキリしていないのに汗を多くかいてしまう症状のことです。

原発性多汗症には、発汗部位に応じてさらに以下の種類があります。

  • 原発性腋窩多汗症
  • 原発性手掌多汗症
  • 原発性多汗症足底多汗症
  • 原発性頭部顔面多汗症

 

検査をしてもとくに異常がないにもかかわらず多汗症の症状が出てしまいます。原因がわからないため、つらい思いをすることもあるかもしれません。

検査で異常がないのに多汗症の症状が出ている場合は、自律神経の乱れや精神的なことが原因で症状が出ているケースが多いです。

続発性多汗症

一方で続発性多汗症とは、何らかの疾患が原因となって多汗症の症状が出てしまうものです。

多汗症を発症する疾患には主に以下のものが挙げられます。

  • 感染症(結核など)
  • 甲状腺機能亢進症
  • 褐色細胞腫
  • 循環器疾患
  • 脳梗塞
  • 神経障害

全身性多汗症の場合、とくに多く見られるのは甲状腺機能亢進症でしょう。多汗症の症状が出たらまずは甲状腺の機能に異常がないか検査されることが多いです。

他に全身性多汗症は、感染症や循環器疾患、褐色細胞腫でも起こります。局所性多汗症の場合は脳梗塞や神経障害の影響で起こることが多いです。

多汗症はただの汗っかきではありません。とくに暑くなにのにビッショリと汗をかいてしまうのが多汗症です。じっと座っているだけなのに一人だけ汗が垂れ落ちてくる、紙が湿るほど手のひらに汗をかくなど、多汗症は日常生活に大きな支障をきたします。

 

多汗症を発症しやすい年齢

多汗症は文献によって少々数値が異なるものの、100人いれば1人から4人ほどが発症していると言われている疾患です。

日本人が原発性多汗症を発症する平均年齢は部位別に少々異なります。

  • 「手のひら」・・・平均発症年齢13.8歳
  • 「足裏」・・・15.9歳
  • 「脇」・・・19.5歳
  • 「頭」・・・21.2歳
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多汗症の診断基準

自分が多汗症なのかわからないという状況もありますよね。原発性局所多汗症診察ガイドラインによって、以下のように診断基準が設けられています。

以下の項目に2つ以上該当する方は、多汗症の可能性があります。

原発性多汗症の診断基準
  • 発症したのが25歳以下である
  • 発汗が左右対称で見られる
  • 睡眠中は発汗が止まる
  • 1週間に1回以上の発汗エピソードがある
  • 家族歴がある
  • 発汗により日常生活に支障をきたしている

項目に「家族歴がある」が含まれていることからわかる通り、多汗症の発症には遺伝も関係しています。とはいえ具体的な関係性はまだ詳しくはわかっていません。

多汗症の治療方法

続発性多汗症の場合は、多汗症を引き起こしている疾患の治療を進めていかなければなりません。

一方で原発性多汗症の治療方法は、症状が出ている部位によって変わります。それぞれの部位について、治療方法を見ていきましょう。

 

原発性腋窩・足底多汗症の治療方法

  • 塩化アルミニウム液
  • A型ボツリヌス毒素の注射

基本的にどの部位の多汗症でも、塩化アルミニウム液の使用が第一選択薬となります。塩化アルミニウム液が汗の出口を塞ぐことで汗を出ないようにするものです。

塩化アルミニウム液は多汗症を診察している皮膚科で貰うこともできますし、市販で購入することもできます。

市販のは皮膚科で貰うものより濃度が低いことがありますが、手軽に治療を始められるのでオススメです。

塩化アルミニウム液の他に、A型ボツリヌス毒素(ボトックス)によって汗を抑える方法もあります。A型ボツリヌス毒素を脇に注射すると神経の伝達が遮断され、過剰な汗をストップしてくれるものです。

両脇でおよそ10万円くらいかかってしまいますが、半年くらいは脇汗を気にせずに過ごせるのでとても気を楽に生活できるようになります。

A型ボツリヌス毒素の注射は多汗症の治療を行っているクリニックで受けることが可能です。



原発性手掌多汗症の治療方法

手にひらに多く汗をかいてしまう原発性多汗症の場合、治療方法は主に4つあります。

  • 塩化アルミニウム液
  • イオントフォレーシス
  • A型ボツリヌス毒素の注射
  • 交感神経遮断

手掌多汗症の場合は塩化アルミニウム液やA型ボツリヌス毒素の注射に加えて、イオントフォレーシスや交感神経遮断といった治療方法も取られます。

イオントフォレーシスとは手のひらに10~20mAの電流を流す治療方法です。2~3週間に1度通電し、合計10回程度行う必要があります。

即効性がないためすぐに汗をスパっと止められるものではありません。しかし痛みを伴わないのと、1回あたりの通電が1,000円程度で済むのでかなりお財布に優しい治療方法となります。

多汗症の治療をしている医療機関で受けられる他、自宅でイオントフォレーシスができるキットも発売されています。

一方で交感神経遮断は手術によって交感神経を取り除いていく治療方法です。交感神経遮断は代償性発汗といって手のひらの汗が止まった代わりに顔や脇など他の部位での発汗が増えるおそれがあります。

皮膚にメスを入れて行う方法であるため費用も高額です。

原発性頭部顔面多汗症の治療方法

  • 塩化アルミニウム液
  • 内服薬
  • A型ボツリヌス毒素の注射
  • 交感神経遮断

頭や顔に汗をたくさんかく場合だと、内服薬を使用することもあります。内服薬は脇や手のひらの多汗症に使われることもあるものです。

自律神経を整えるお薬や、汗を出にくくする抗コリン薬などが主に使用されます。プロバンサインやグランダキシンが代表的な治療薬です。

内服薬の中には市販で購入できるものもありますので、まずは市販薬から試してみるのもよいでしょう。

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まとめ

多汗症は他の疾患が原因で起こる続発性多汗症と、とくに原因がないのに起こる原発性多汗症とがあります。原発性多汗症の場合は塩化アルミニウム液やイオントフォレーシス、内服薬などでの治療が基本です。

手術やA型ボツリヌス毒素の注射も有効ですが、費用がかなり必要なためまずは安価な塩化アルミニウム液などから始める方が多いでしょう。

「これならできそうかな?」という治療方法をまずは試していき、自分に合った治療法を見つけていくことが大切です。

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