多汗症に悩んでいる方にとって、症状を軽減する効果的な方法を知りたいと考えることは当然のことです。汗が気になって授業に集中できない、人と会いたくないなど支障が出ている方も多いでしょう。
この記事では、多汗症に効果的な対策方法を2種類に分けて紹介します。自宅で簡単にできる方法と医療を活用した方法を紹介するので参考にしてみてください。
多汗症は、対策をすることで確実に症状を緩和できます。すぐに汗を止めたい方には塩化アルミニウムがおすすめです。
Contents
多汗症とは
多汗症とは、生活に支障を生じるほど過剰に汗をかく病気です。全身性と局所性があり、原因不明の原発性と病気に関連する続発性に分類されます。
汗腺の異常や生活習慣、ストレス、ホルモンバランス異常が関与することが多い病気です。
多汗症とは何か？
多汗症は病気であり、単なる汗っかきとは異なります。暑いわけでもないのに急に滝のような汗をかいたり、教室で一人だけ大量に汗をかいたりして困っている方が少なくありません。
ただの汗かきとは、違い、日常生活に大きな影響を与えます。
多汗症はきちんとした治療法がないと誤解されがちですが、医師の診断を受け、適切な治療を受けることが可能です。
多汗症の主な原因
多汗症の原因は、大きく先天的要因と後天的要因に分けることができます。先天的な要因で多いのが、遺伝的要素やアポクリン汗腺の数です。多くのケースで家族内にも同様の症状に悩んでいる方が見られます。
これに対し、後天的な要因は感染症、内分泌異常、神経疾患、薬剤の影響などが代表的です。また、交感神経の異常興奮も関連があるとされていますが、明確な発症メカニズムはまだすべては解明されていません。
多汗症の種類
多汗症は、汗の過剰な分泌が起きる症状です。大きく次の2種類に分類されます。
- 全身性多汗症
- 局所性多汗症
局所多汗症は、以下のようにさらに細かく分類することが可能です。
- 腋窩多汗症
- 手掌多汗症
- 足底多汗症
- 頭部顔面多汗症
腋窩多汗症では脇汗が大量に出るため、洋服の汗じみが気になる方が多いでしょう。汗じみが目立たない服ばかりを選ぶようになってしまう方もいます。
手掌多汗症は、手のひらに汗をかく病気です。重症の方では、手から滴るほどの汗が出てきます。
足底多汗症は、その名の通り足の裏に汗をかく病気です。靴が蒸れたり、床に足跡がついたりなどの不快感を伴います。
頭部顔面多汗症は、顔から異常な量の汗が出る状態です。顔や頭の汗は隠すにも隠せないため、悩んでいる方が非常に多くいます。
さまざまな多汗症がありますが、どれもつらい思いをしてしまうのには変わりありません。しっかり対策して少しでも過ごしやすくなるようにしましょう。
日常生活でできる多汗症対策
多汗症の対策は、生活の質を向上させるために欠かせません。汗のことで少しでも困っている方は、今からでもできる対策方法を実施してみてください。
衣類の素材の選び方を工夫する
衣服の素材選びはとても大切です。吸湿性が高く通気性に優れた綿や麻を選ぶと、汗がすばやく吸収されて蒸発するので、サラッとした状態を保てます。
汗じみが気になる方は、速乾性を重視してポリエステルやシルク、麻などの素材がおすすめです。とくにポリエステルは水分を吸収しにくい性質をもっているので、汗じみがあまりできません。
食生活の見直しを行う
食生活の見直しは、発汗を減少させるために有効な方法の一つです。多汗症の方は、以下のものを摂取しすぎないように気をつけましょう。
- カフェイン
- アルコール
- 辛い食べ物
これらの食べ物や飲み物は、発汗を促進する働きがあります。とくにカフェインは、神経を刺激し発汗を引き起こすことが知られている成分です。アルコールは血管を拡張させてるので汗が出やすくなります。
ストレスを溜め込まない
ストレスは多汗症にとって避けたいものです。ストレスを溜め込むと交感神経が優位な状態が続き、汗腺の働きが活発になります。
もともと交感神経が敏感な方ほど多汗症になりやすいともいわれているため、ストレスを溜め込むのは厳禁です。
医療による多汗症の治療法
多汗症の改善には、専門的な対処が大切です。日常生活の見直しも大切ですが、それだけで多汗症の症状が完全に治ることは少ないでしょう。
多汗症の病気に邪魔されない日常生活を送るためにも、塩化アルミニウムや内服薬などの使用も検討しましょう。
塩化アルミニウムを使用する
塩化アルミニウムの活用は、汗を抑えるために非常に効果的な方法とされています。汗管の細胞に作用し、汗の通り道を一時的に塞ぐことで発汗を制御するのです。
汗の通り道を塞ぐため、多汗症だけでなくワキガの対策にも効果があります。しかし、使用をやめるとまた症状が元通りになるため、定期的な使用が必要です。
すぐにできる多汗症の対策としては、塩化アルミニウムがもっともおすすめです。通院不要なうえに、汗が気になるところに塗布するだけで汗止めの効果が期待できます。
内服薬を使用する
内服薬の使用は、多汗症の治療において効果的な方法の一つです。とくにプロバンサインは、日本で唯一、多汗症に保険適用されている薬として知られています。抗コリン作用を持ち、発汗の指令をブロックすることで症状を緩和してくれるのです。
この作用により、交感神経から汗腺への刺激が抑えられ、発汗が軽減してくれます。ただし、口の渇きや眠気などの副作用が生じることがあるので注意しましょう。このほか、漢方薬も多汗症対策に用いられます。
プロバンサインは市販では購入できません。内科や皮膚科などで処方してもらえます。「プロバンサインを使ってみたい」と相談すると、処方してくれますよ。
先進的な多汗症の対策法
多汗症の対策には、最新技術も有効です。たとえば、ミラドライといった非侵襲的治療法が注目されています。
これは手術を避けつつ効果的に発汗を抑える技術で、専門医による診断と組み合わせることで、一人ひとりに適した治療が提供可能です。
ミラドライ
ミラドライは、切らずにワキガや多汗症の根本的な治療が可能な医療機器として注目されている治療法です。施術後すぐに効果を実感でき、多くの患者は汗やにおいが気にならなくなるといわれています。汗
腺を破壊するため、一度の施術で半永久的な効果が持続するのが大きな特徴でしょう。
ミラドライは厚生労働省に認可された唯一の医療機器で、安全性も科学的に裏付けられています。
ただし未成年での使用では成長に伴う症状の復活があるかもしれないため、注意が必要です。
ボツリヌス注射
ボツリヌス注射は多汗症治療において効果的な方法です。注射により交感神経からの信号を遮断し、発汗を抑制するのです。ボツリヌス菌から生成されたタンパク質が使用されており、脇や手、足などの部位に直接注入されます。
効果の持続期間は個人差がありますが約半年です。手術に比べて身体への負担が少ないため、多汗症患者にとって魅力的な選択肢といえます。
イオントフォレーシス
イオントフォレーシスは、多汗症、とくに手のひらや足の裏の多汗症に有効な治療法です。この治療法は、水道水に手や足を浸し、微弱な直流電流を流して行います。電流によって汗腺の出口が一時的に障害され、汗の分泌を抑えることができるのです。
週に1回程度の治療を繰り返し、10回から20回治療を繰り返し受けることで効果を実感できるといわれています。日本皮膚科学会のガイドラインでも推奨されている治療法です。
イオントフォレーシスは皮膚科で受けられます。しかし、扱っていないところもあるので事前に確認してから受診するのがおすすめです。
交感神経遮断術
交感神経遮断術は、多汗症の治療方法の一つとして知られていますが、実際には手術が必要でありリスクも伴うため慎重な判断が必要です。手のひらの多汗症に対しては、ほぼ100％の効果を発揮します。
交感神経を切り取ったり焼き切ったりするため、手術直後から効果を実感できることが特徴です。
参考：汗の病気―多汗症と無汗症― Q12 – 皮膚科Q＆A（公益社団法人日本皮膚科学会）
まとめ
多汗症は、その人にしか分からない悩みが多く発生します。日常生活に支障が出て困っている方がほとんどでしょう。まずは日常生活の見直しを行い、その上で自分の症状に合った対策を行うことが大切です。
幅広い選択肢があるので、きっと自分に合うものが見つかります。簡単に対策でき、病院通いも不要なものとして知られているのが、塩化アルミニウムです。
塩化アルミニウムを塗布することで汗の通り道が塞がり、次第に汗の量が減っていきます。市販でも購入できるので、気になる方はお試しください。
